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生活習慣は今から変えても意味がある?日本人約5万人の研究と、今日からできる3つの行動

☝️ はじめに

「健診で血糖や血圧を指摘されたけれど、何から変えればいい?」
「これまで不摂生だったら、今さら改善しても遅い?」
「三日坊主になりがちでも、続けられる方法はある?」

健康づくりでは、自分の生活に合った行動を選び、続けられる形にすることが大切です。

今回は、日本人の健診データを使った研究と、生活習慣を改善する介入試験を分けて紹介し、今日から取り組める行動を考えます。

☝️ 生活習慣を「続けて見る」とは?

生活習慣は、時間とともに変わります。

現在の状態だけでなく、毎年の記録を振り返ることで、「喫煙を続けている」「お酒を毎日飲む」「運動習慣が定着している」など、長期的な傾向が見えてきます。

健康づくりでも、一日の体重や一回の健診結果だけで判断せず、生活と数値の変化を合わせて確認しましょう。

なお、生活習慣病には体質や年齢なども関わります。健診の異常を、本人の努力不足だけで説明することはできません。

☝️ 研究では何が分かっている?

① 日本人約5万人の研究:生活習慣と健診結果の関連

2024年のJMA Journalの研究は、初回健診時20〜59歳の日本人51,064人について、10回の年次健診データを分析した観察研究です[1]。

調べたのは、喫煙・飲酒頻度・運動習慣と、BMI・収縮期血圧・LDLコレステロール・HbA1cとの関連でした。

例えば、毎日飲酒するグループでは、非喫煙・非飲酒・運動習慣ありのグループより、統計モデル上の収縮期血圧が約2.4mmHg高い関連が報告されました。

この差は、「お酒を減らせば誰でも血圧が2.4mmHg下がる」という治療効果を意味しません。また、糖尿病の発症リスクが何%下がるかを示した研究でもありません。

② 生活習慣を実際に変える効果は、介入試験も参考になる

「生活習慣を今から変えることに意味があるか」を考えるうえでは、参加者に改善プログラムを行う介入試験も重要です。

米国のDiabetes Prevention Programでは、血糖値が高いものの糖尿病をまだ発症していない3,234人を、生活習慣介入・メトホルミン・プラセボの3群に無作為に分けました[2]。

生活習慣介入では、食事・身体活動・減量を、継続的な支援とともに進めました。平均2.8年の追跡で、糖尿病の発症率はプラセボ群に比べて58%低くなりました(95%信頼区間48〜66%)。

発症率は、100人を1年間追跡する人数・期間に換算すると、プラセボ群で11.0件、生活習慣介入群で4.8件でした。

これは、糖尿病の発症リスクが高い方への、複数の取り組みと支援を組み合わせた結果です。「少し歩けば誰でも58%予防できる」という意味ではありません。米国の研究であり、日本の患者さんへ効果量をそのまま当てはめることもできません。

それでも、適切な対象と支援のもとで、生活習慣の改善が糖尿病の発症を減らせることを示す重要な研究です。

☝️ まだ分かっていないこと

日本人の健診研究は観察研究なので、習慣と数値の関連から因果関係を断定できません。対象も働く世代の男性が中心で、高齢者などへの一般化には注意が必要です。

また、個人の効果は、体質、現在の生活、病状、治療内容などによって異なります。

「元気に見える人の習慣をまねれば同じ結果になる」と考えるより、自分の健診結果と生活を確認し、取り組む優先順位を決めることが大切です。

☝️ 実生活ではどうすればいい?

✅ ① 喫煙している方は、禁煙の進め方を相談する

禁煙を考えていても、仕事の休憩や飲酒の場面など、吸いたくなるきっかけがあると難しく感じることがあります。

まずは「いつ・どんな場面で吸うか」を記録し、その場面でできる別の行動を考えましょう。

禁煙を試みてうまくいかなかった経験があっても、一人で抱える必要はありません。医療機関で、進め方や支援について相談してください。

すでに吸っていない方は、その状態を続けましょう。

✅ ② お酒は、量・度数・頻度を見直す

「適度なお酒は健康によい」と考えて、飲酒を始める必要はありません。

飲む方は、まず1週間の量・度数・頻度を記録してみましょう。厚生労働省のガイドラインも、純アルコール量を把握し、飲酒によるリスクを考えることを勧めています[3]。

例えば、ビール500mL・アルコール度数5%には、純アルコールが約20g含まれます。これは「安全な上限」を示す数字ではありません。

取り組みの例は、

  • 大きい缶から小さい缶に変える
  • 飲み始める前に量を決める
  • 飲まない日を設け、ほかの日のまとめ飲みも避ける
  • お酒の一部を水やノンアルコール飲料に置き換える

などです。

持病や服薬がある方は、飲酒の可否も主治医に確認しましょう。

✅ ③ 今より少し多く動き、座りっぱなしを減らす

運動習慣がない方は、無理なく追加できる短い活動から始めましょう。

  • 昼休みに5〜10分歩く
  • 買い物や通勤で、歩く区間を少し増やす
  • デスクワークの合間に立ち、短く歩く
  • 体力に合わせて、椅子からの立ち座りなどを取り入れる

厚生労働省の身体活動・運動ガイドは、個人差に合わせて調整し、「今よりも少しでも多く身体を動かす」ことを勧めています[4]。

成人では、歩行相当以上の身体活動を1日60分、筋力トレーニングを週2〜3日行うことが目安です。家事や通勤なども含めた身体活動であり、全員が最初からこの量に取り組む必要はありません。

持病や痛み、運動制限がある方は、適切な内容を相談してください。

✅ 続けるコツは「小さな行動を一つ決める」

「健康に気をつける」だけでは、行動を選びにくいものです。

「昼食後に5分歩く」「お酒の量を記録する」など、いつ・何をするかを一つ決めてみましょう。

カレンダーやスマートフォンは、できた日を記録する道具として使えます。達成できない日があれば、目標や時間帯を調整し、再開しやすい形にしましょう。

✅ 健診で指摘された数値も確認する

生活習慣を見直すことと、必要な検査や治療を受けることは、どちらも大切です。

血糖・HbA1c・血圧・LDLコレステロールなどを指摘された方は、健診結果を持ってご相談ください。自覚症状がなくても、再検査や治療が必要な場合があります。

初台まちのクリニックでは、糖尿病・生活習慣病の診療を通じて、患者さんの生活に合った目標と、必要な治療を一緒に考えます。

☝️ まとめ

健康づくりは、今できる行動を選ぶところから始められます。

✅ 喫煙している方は、禁煙の進め方を相談する
✅ お酒の量・度数・頻度を見直す
✅ 今より少し多く動き、座りっぱなしを減らす
✅ 健診の数値を確認し、必要な診療を受ける

研究で報告された数字を、自分の効果として約束することはできません。自分に合った小さな行動を、続けやすい形で積み重ねていきましょう。

【参考文献・参考資料】

  1. Tajima T, Kanehara R, Fujii M, et al. Trajectory Patterns of Three Lifestyle Behaviors and Subsequent Health Conditions in Japanese Adults: A Retrospective Longitudinal Study Using a Health Checkup Database. JMA J. 2024;7(4):506–517.
    DOI:10.31662/jmaj.2024-0076
    PMID:39513057
  2. Knowler WC, Barrett-Connor E, Fowler SE, et al.; Diabetes Prevention Program Research Group. Reduction in the incidence of type 2 diabetes with lifestyle intervention or metformin. N Engl J Med. 2002;346(6):393–403.
    DOI:10.1056/NEJMoa012512
    PMID:11832527
  3. 厚生労働省.健康に配慮した飲酒に関するガイドライン.2024年.
  4. 厚生労働省.健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023.

※本記事は一般的な医学情報を提供するものです。生活習慣の目標や治療の必要性は、年齢、病状、服薬、体力などによって異なります。薬を自己判断で中止・変更せず、主治医と相談してください。

院長 富田恭子

この記事の監修

富田 恭子初台まちのクリニック 院長/日本糖尿病学会 糖尿病専門医

経歴

  • 2008年 福岡大学医学部医学科 卒業
  • 鳥取大学医学部附属病院、山陰労災病院、上尾中央総合病院、総合健診センターヘルチェック 勤務

資格・所属学会

  • 日本糖尿病学会 糖尿病専門医
  • 日本内科学会 内科認定医
  • 日本医師会認定産業医/認知症サポート医
  • 抗加齢医学会 会員/日本フットケア・足病医学会 会員

糖尿病は初期に自覚症状が乏しく、放置すると合併症につながることがあります。糖尿病専門医として、将来の合併症を見据えながら「今できること」を一人ひとりと一緒に考え、継続して治療を進めます。

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