こんにちは。初台まちのクリニックです👩⚕️

「家族から『いびきがうるさくて心配』と言われる」
「しっかり寝たはずなのに、昼間とにかく眠い」
「CPAP(シーパップ)治療中だが、毎晩のマスクが煩わしい」
そんなお悩みをお持ちの方はいらっしゃいませんか?
睡眠の質は、日中のパフォーマンスだけでなく、心臓や脳の健康にも直結する重大な問題です。
実は今、肥満治療薬として知られる「マンジャロ(一般名:チルゼパチド)」が、肥満を伴う睡眠時無呼吸症候群(OSA)にも劇的な改善をもたらすという研究結果が発表され、世界中の医療関係者から注目を集めています。
今回は、世界最高峰の医学誌『The New England Journal of Medicine (NEJM)』に掲載された最新研究(SURMOUNT-OSA試験)をもとに、「減量と快眠」の深い関係について解説します。
☝️なぜ「肥満」が「無呼吸」の原因になるのか?
睡眠時無呼吸症候群(OSA)の最大の原因の一つは「肥満」です。
体重が増えると、お腹周りだけでなく、首の周りや舌の付け根にも脂肪がつきます。仰向けで寝た際に、その脂肪が重力で垂れ下がり、空気の通り道(気道)を狭くしたり、塞いだりしてしまうのです。
これが、大きないびきや、睡眠中の呼吸停止を引き起こします。逆に言えば、「適切な減量は、物理的に気道を広げ、睡眠の質を根本から改善する」最も有効な手段の一つとなり得ます。
☝️最新研究が示した驚きの結果(SURMOUNT-OSA試験)
2024年、マンジャロ(チルゼパチド)が睡眠時無呼吸症候群にどのような影響を与えるかを調査した大規模な臨床試験の結果が発表されました。
中等症〜重症の睡眠時無呼吸症候群(OSA)と肥満のある患者様を対象としたこの研究では、以下のような素晴らしい結果が報告されています。
✅劇的な体重減少
マンジャロを投与されたグループは、約1年間で平均18〜20%の体重減少を達成しました。
✅無呼吸・低呼吸の回数が激減
睡眠1時間あたりの無呼吸・低呼吸の回数(AHI)が、最大で約30回も減少しました。これは睡眠の質が劇的に向上したことを意味します。
✅CPAPからの離脱の可能性
さらに驚くべきは、一部の患者様において、「睡眠時無呼吸症候群が寛解(症状がほぼなくなる状態)」に至ったというデータです。これは、将来的にCPAP療法を卒業できる可能性を示唆しています。
☝️「痩せる」ことは「ぐっすり眠る」こと
この研究結果は、単に「薬で痩せた」というだけでなく、「減量治療が、睡眠時無呼吸症候群の治療になり得る」という新しい希望を示しています。
• 日中の強烈な眠気からの解放
• 集中力の向上
• 高血圧や心血管疾患リスクの低減
マンジャロによる治療は、見た目の変化だけでなく、これら「生活の質(QOL)」の向上に大きく貢献する可能性があります。
☝️【セルフチェック】あなたの睡眠リスク度は?
「ただのいびき」だと思って放置していませんか?
以下の項目にいくつ当てはまるか、チェックしてみましょう。
□ 大きな「いびき」をかくと家族に言われる
□ 睡眠中に呼吸が止まっている、または「ガガッ」とむせることがある
□ 日中(会議中や運転中など)に耐えがたい眠気がある
□ 朝起きた時に頭痛がする、または熟睡感がない
□ 夜中に何度もトイレに起きる
□ 若い頃より体重が増え、首回りが太くなった
□ 血圧が高い、または薬を飲んでも下がりにくい
【判定結果】
もし1つでも当てはまる項目があれば、睡眠時無呼吸症候群(OSA)が隠れている可能性があります。特に「いびき」と「昼間の眠気」の両方がある方は、早めの検査をおすすめします。
出典:一般社団法人 日本呼吸器学会「睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020」および「呼吸器の病気」関連情報を基に作成
👩⚕️まずはお気軽にご相談ください
もちろん、すべての睡眠時無呼吸症候群が肥満だけを原因とするわけではありません(顎の骨格などが原因の場合もあります)。また、マンジャロは医療用医薬品であり、適切な診断と管理のもとで使用する必要があります。
当院では、患者様の体重、生活習慣、そして睡眠のお悩みに合わせて、最適な治療プランをご提案いたします。
一緒に「質の高い睡眠」と「健康な体」を取り戻しましょう。
【出典/参考文献】
Malhotra A, et al. Tirzepatide for the Treatment of Obstructive Sleep Apnea and Obesity. N Engl J Med. 2024; 391:1193-1205.
(DOI: 10.1056/NEJMoa2404881)
※肥満を伴う中等度〜重度の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)に対する有効性を示した研究
※本記事は最新の研究データをご紹介するものであり、効果には個人差があります。
※日本ではマンジャロは2型糖尿病の治療薬として承認されています。
※薬剤の調整や中止は必ず医師の指導の下で行ってください。