こんにちは。初台まちのクリニックです👩⚕️

皆様、今年の健康診断の結果はいかがでしたか?
「体重が増えていた」
「肝臓の数値(ALT, AST, γ-GTP)が高かった」
「『脂肪肝』だと言われた」
もし、このような指摘を受けて、「お酒を減らせばいいのかな?」と漠然と考えているなら、このブログをお読みください。
実は、肥満治療薬として知られる「マンジャロ(チルゼパチド)」が、肝臓に蓄積した脂肪だけでなく、肝臓の「硬さ(線維化)」を改善するという画期的な研究結果が発表されました。
今日は、医療者の間でも話題になっている最新の研究(SYNERGY-NASH試験)について解説します。
☝️放置すると怖い「脂肪肝」と「線維化」
肝臓に脂肪がたまると、炎症が起き、肝臓の組織が徐々に硬くなっていきます。これを「線維化(せんいか)」と言います。
線維化が進むと、将来的に「肝硬変」や「肝がん」へと進行するリスクがあります。
これまで、この「脂肪肝炎(MASH)旧称:非アルコール性脂肪肝炎 (NASH)」に対して、直接的に高い効果を示す薬剤はなかなか存在しませんでした。
☝️最新研究でわかった「肝臓への修復効果」
2024年6月、世界的な医学誌『NEJM』に発表された研究では、脂肪肝炎(MASH)と中等度以上の線維化がある患者様を対象に、マンジャロの効果を検証しました。
その結果は、非常に希望の持てるものでした。
1. 脂肪肝炎の消失
マンジャロ(5 mg、10 mg、15 mg)を使用したグループの約74%において、脂肪肝炎の消失(炎症がなくなること)が確認されました。
2. 肝臓の「硬さ」が改善
さらに重要なのが、肝臓の線維化が悪化せず、むしろ改善した患者様の割合が有意に高かったことです。
これは、マンジャロが単に体重を落とすだけでなく、脂肪肝による炎症を改善し、健康な状態へ導く可能性を示唆しています。
☝️「痩せる」は「臓器を守る」こと
「ダイエット」というと見た目の変化ばかりに目が行きがちですが、医学的には「内臓脂肪を落とし、臓器の機能を回復させること」ことこそが本質です。
当院のメディカルダイエットでは、こうした内科的な視点を大切にしています。
マンジャロによる治療は、体重減少とともに、肝機能データや脂肪肝の改善も期待できる「一石二鳥」の治療法と言えるかもしれません。
✅健康診断で肝数値を指摘された方
✅将来の肝硬変リスクが心配な方
✅内臓脂肪レベルが高い方
まずは一度、当院のカウンセリングにてご相談ください。
血液検査データをお持ちいただければ、より詳しいアドバイスも可能です。
【参考文献】
Loomba R, et al. Tirzepatide for Metabolic Dysfunction–Associated Steatohepatitis with Liver Fibrosis. N Engl J Med. 2024; 391:299-310.
(DOI: 10.1056/NEJMoa2401943)
※本記事は最新の研究データをご紹介するものであり、効果には個人差があります。
※現在、日本国内におけるマンジャロの保険適応は「2型糖尿病」です。脂肪肝治療のみを目的とした保険診療は認められていません(自費診療等の適応については医師にご相談ください)。