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マグネシウムで眠りは良くなる?研究で分かったこととサプリの注意点

☝️ はじめに

「眠れないのは、マグネシウムが足りないから?」
「サプリメントを飲めば、ぐっすり眠れる?」
「食事で補うだけでは不十分?」

マグネシウムと睡眠の関係は研究されていますが、現時点で「マグネシウムを摂れば不眠が治る」とまでは言えません。

一部の比較試験では改善が報告されているものの、対象者や研究期間は限られています。今回は、研究で分かったことと、実生活で気をつけたいポイントを整理します。

☝️ マグネシウムとは?

マグネシウムは、神経や筋肉の働き、エネルギーの代謝などに関わる必須ミネラルです。豆類、ナッツ、全粒穀物、緑の葉野菜などに含まれています[4]。

睡眠に関わる神経の働きにも影響する可能性が研究されています。ただし、体内での働きが分かることと、サプリメントで不眠が改善すると証明されることは別です。

また、眠れないという症状だけで、マグネシウム不足とは判断できません。不眠には生活習慣、ストレス、薬の影響、睡眠時無呼吸症候群など、さまざまな原因があります。

☝️ 研究では何が分かっている?

① 高齢者46人の小規模な比較試験

2012年のAbbasiらの研究では、原発性不眠症の高齢者46人を、マグネシウムを摂取する群とプラセボを摂取する群に分け、8週間比較しました[1]。

これはランダム化比較試験(RCT)です。参加者を無作為に分けて比較することで、介入の効果を調べる研究方法です。

不眠の自己評価や寝つきなど、一部の指標は改善しました。一方、総睡眠時間には群間で統計学的に明確な差がありませんでした。

少人数の結果であり、若い方や持病のある方にも同じ効果が得られるとは限りません。

② 2021年の系統的レビュー・メタ解析

高齢者を対象とした3件のRCT、計151人をまとめた研究では、マグネシウムの効果が検討されました[2]。

寝つくまでの時間を統合できた2件の試験では、プラセボより平均約17分短い結果でした。しかし、総睡眠時間が延びる効果は統計学的に明確ではありませんでした。

研究の方法上の問題もあり、根拠の確実性は「低い〜非常に低い」と評価されています。「誰でも17分早く眠れる」という意味ではありません。

③ 2025年の成人155人を対象とした比較試験

睡眠の質が悪いと感じている18〜65歳の成人155人を対象に、マグネシウム・ビスグリシネートとプラセボを4週間比較したRCTも報告されています[3]。

主な評価項目は、不眠の程度を自己評価する「不眠重症度指数(ISI)」でした。

平均改善幅はマグネシウム群で3.9点、プラセボ群で2.3点で、改善幅の差は約1.6点でした。統計学的には差がありましたが、効果の大きさは小さいものでした。

この結果から、長期的な効果や、すべてのマグネシウム製品で同じ効果が得られることまでは判断できません。

☝️ まだ分かっていないこと

現時点では、次の点が十分に明らかになっていません。

✅ どのような人に、どの程度の効果があるのか
✅ 効果が長期間続くのか
✅ 適切な製剤・量・服用期間はどれくらいか
✅ 糖尿病や腎臓病などのある方でも、有効かつ安全なのか

今回紹介した研究だけでは、日本の患者さん全員に同じ使い方を勧めることはできません。

マグネシウム不足を補う必要がある場合と、不足が確認されていない方が睡眠目的でサプリメントを飲む場合も、分けて考えることが大切です。

☝️ 実生活ではどうすればいい?

① まず、食事全体を整えましょう

豆腐や納豆などの大豆製品、野菜、全粒穀物、ナッツなどを、無理なく食事に取り入れましょう。

例えば、主菜に豆腐料理を加える、野菜の副菜を一品増やすといった方法です。

ナッツはエネルギーも多いため、無塩・素焼きのものを少量にするなど、食事全体の量も考えましょう。糖尿病のある方は、特定の栄養素だけでなく、糖質や総エネルギーを含めたバランスが大切です。

腎臓病などで食事制限を受けている方は、食品を増やす前に主治医へ相談してください。

② 睡眠習慣も一緒に見直しましょう

厚生労働省の睡眠ガイドも参考に、まず次の点を確認してみましょう[5]。

✅ 起きる時刻をできるだけそろえる
✅ 朝に光を浴びる
✅ 夕方以降のコーヒーやエナジードリンクなどを見直す
✅ 眠るための「寝酒」を避ける
✅ 就寝前のスマートフォンや照明の明るさを控える

寝つくまでの時間、夜中に起きる回数、日中の眠気などを記録すると、診察でも役立ちます。

③ サプリメントは、腎機能と服薬を確認してから

マグネシウムのサプリメントは、下痢や腹部の不快感などを起こすことがあります。

特に腎機能が低下している方では、マグネシウムを十分に排出できず、血中濃度が高くなる危険があります[4]。

また、便秘薬や胃薬にもマグネシウムが含まれることがあります。サプリメントとの重複や、一部の抗菌薬などの吸収への影響にも注意が必要です。

使用を考えている方は、お薬手帳と商品の成分表示を医師・薬剤師に見せて相談しましょう。研究で使われた量を、そのまま自己判断で飲むことは勧められません。

④ 不眠やいびきが続く場合は、原因を確認しましょう

眠れない状態が続いて日中の生活に支障がある場合や、大きないびき、睡眠中の呼吸停止、強い日中の眠気がある場合は、医療機関へご相談ください。

糖尿病や高血圧のある方も、睡眠の悩みを持病と合わせて確認することが大切です。

☝️ まとめ

マグネシウムは体に必要な栄養素であり、一部の比較試験では睡眠に関する指標の改善が報告されています。

ただし、研究は小規模・短期間のものが多く、効果はまだ限定的です。不眠だけでマグネシウム不足とは判断できず、サプリメントは不眠症の標準治療の代わりにはなりません。

まずは食事と睡眠習慣を整え、症状が続く場合は原因を確認しましょう。

初台まちのクリニックでは、睡眠の悩みについて、糖尿病・血圧・体重などの生活習慣病と合わせてご相談いただけます。

初台駅南口から徒歩1分です。

【参考文献・参考資料】

  1. Abbasi B, Kimiagar M, Sadeghniiat K, Shirazi MM, Hedayati M, Rashidkhani B. The effect of magnesium supplementation on primary insomnia in elderly: A double-blind placebo-controlled clinical trial. J Res Med Sci. 2012;17(12):1161–1169. PMID: 23853635.
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23853635/
  2. Mah J, Pitre T. Oral magnesium supplementation for insomnia in older adults: a Systematic Review & Meta-Analysis. BMC Complement Med Ther. 2021;21:125. DOI: 10.1186/s12906-021-03297-z. PMID: 33865376.
    https://doi.org/10.1186/s12906-021-03297-z
  3. Schuster J, Cycelskij I, Lopresti A, Hahn A. Magnesium Bisglycinate Supplementation in Healthy Adults Reporting Poor Sleep: A Randomized, Placebo-Controlled Trial. Nat Sci Sleep. 2025;17:2027–2040. DOI: 10.2147/NSS.S524348. PMID: 40918053.
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40918053/
  4. National Institutes of Health, Office of Dietary Supplements. Magnesium: Fact Sheet for Health Professionals.
    https://ods.od.nih.gov/factsheets/Magnesium-HealthProfessional/
  5. 厚生労働省.健康づくりのための睡眠ガイド2023.
    https://www.mhlw.go.jp/content/001305530.pdf

※本記事は一般的な医学情報を提供するもので、個別の診断や治療の指示ではありません。サプリメントの使用や治療薬の変更は、持病・腎機能・服薬状況を踏まえて医師・薬剤師に相談してください。

院長 富田恭子

この記事の監修

富田 恭子初台まちのクリニック 院長/日本糖尿病学会 糖尿病専門医

経歴

  • 2008年 福岡大学医学部医学科 卒業
  • 鳥取大学医学部附属病院、山陰労災病院、上尾中央総合病院、総合健診センターヘルチェック 勤務

資格・所属学会

  • 日本糖尿病学会 糖尿病専門医
  • 日本内科学会 内科認定医
  • 日本医師会認定産業医/認知症サポート医
  • 抗加齢医学会 会員/日本フットケア・足病医学会 会員

糖尿病は初期に自覚症状が乏しく、放置すると合併症につながることがあります。糖尿病専門医として、将来の合併症を見据えながら「今できること」を一人ひとりと一緒に考え、継続して治療を進めます。

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