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BMI25以上はみんな「肥満症」?まず3%の減量から考える、健康のための治療

☝️ はじめに

「健診で肥満と言われたけれど、病院に行くほどではない?」
「標準体重まで落とさないと、健康には意味がない?」
「食事や運動を頑張っても減らないとき、薬を使ってよい?」

肥満症の治療では、体重の数字だけでなく、血糖・血圧・脂質、肝臓の状態や日常生活の困りごとを一緒に見ていきます。大切なのは、ご自身の健康につながる目標を立て、続けられる方法を選ぶことです。

☝️ 「肥満」と「肥満症」はどう違う?

日本では、BMIが25以上の状態を「肥満」と判定します。BMIは「体重kg÷身長m÷身長m」で計算し、身長160cm・体重70kgなら約27.3です。

ただし、BMI25以上の方が全員「肥満症」になるわけではありません。

肥満に加えて、減量で改善が期待できる糖代謝異常、高血圧、脂質異常症、脂肪性肝疾患、睡眠時無呼吸症候群などの健康障害がある場合や、内臓脂肪型肥満と確認された場合に、医学的な減量が必要な「肥満症」と診断します[1]。

内臓脂肪型肥満は、腹囲だけで確定するものではなく、必要に応じて画像検査などで評価します。BMIは入口の指標であり、筋肉量や脂肪のつき方、合併症も踏まえた判断が必要です。

また、体重には体質、食欲の調節、睡眠、服薬、生活環境など複数の要因が関わります。減らないことを「意思が弱いから」と責める必要はありません。

☝️ 研究では何が分かっている?

① 最初から標準体重を目指さなくてもよい

日本肥満学会の指針では、高度肥満症に当たらない肥満症の初期目標として、3〜6か月で現在の体重の3%以上の減量を目安にします[1,2]。体重80kgの方なら、まず約2.4kgです。BMI35以上の高度肥満症では、健康障害に応じて5〜10%など、目標を個別に設定します。

この考え方の根拠の一つが、日本人3,480人を対象とした研究です。肥満症またはメタボリックシンドロームのある方に6か月間の生活習慣改善支援を行い、その後さらに6か月追跡しました。実際の減量率で比較すると、3%以上5%未満減った群では、体重がおおむね変わらなかった群と比べ、血糖・血圧・脂質など幅広い検査項目の改善が認められました[3]。

ただし、減量率をくじ引きで割り付けた研究ではありません。食事や運動の変化なども結果に影響しうるため、「3%減らせば全員の検査値が改善する」とは言えません。3%未満では意味がない、という境界線でもありません。

② 体重が同じように減っても、体の中身は違う

2025年9月に公表された系統的レビュー・メタ解析は、過体重・肥満の成人を対象とする25件のランダム化比較試験、計1,608人をまとめています。主な介入期間は2〜18か月で、食事による減量に筋力トレーニングを加えた場合と、食事のみの場合を比較しました[4]。

筋トレを追加しても、体重減少量に明確な差はありませんでした。一方、筋肉などを含む「除脂肪量」の減少は抑えられました。除脂肪量を評価した18試験の統合結果は、標準化平均差0.40、95%信頼区間0.18〜0.61で、エビデンスの確実性は中等度でした。

これは「筋肉が0.40kg増える」という意味ではなく、異なる測定方法の結果を共通の尺度でまとめた数値です。体重計だけでは分からない、減量の質にも目を向ける必要があります。

☝️ 薬はどんなときに使う?

基本は食事・運動・行動面の支援です。十分な改善が得られない場合には、健康障害やこれまでの治療経過を踏まえ、薬物療法などを検討します。

2026年10月時点、日本ではセマグルチド〈ウゴービ〉やチルゼパチド〈ゼップバウンド〉が肥満症治療薬として承認されています。ただし、BMIや合併症などの適応条件があり、保険診療には施設・診療体制や治療歴などの要件もあります[5,6]。肥満症と診断されれば、誰でもこれらの薬を保険で使えるわけではありません。

吐き気、嘔吐、下痢・便秘などの副作用があり、膵炎や胆のうの病気にも注意が必要です。妊娠の予定、持病、併用薬を確認して選びます。糖尿病治療薬と肥満症治療薬は、成分が同じでも適応を区別します。

☝️ まだ分かっていないこと

今回紹介した研究から、3%の減量だけで心筋梗塞や死亡がどの程度減るかは判断できません。また、筋トレの効果には研究間のばらつきがあり、高齢の方や重い合併症のある方に同じ結果が当てはまるとは限りません。

減量後の維持も治療の一部です。体重が戻ったときは、食欲、生活環境、治療内容を見直し、続けられる計画へ調整します。

☝️ 今日からできる3つのこと

✅ 食事は「減らす場所」を一つ決める

甘い飲料を水や無糖のお茶に替える、間食の量を決めるなど、続けやすい変更から始めます。主食を極端に抜かず、魚・肉・卵・大豆製品などのたんぱく源と野菜も組み合わせましょう。腎臓病がある方は、たんぱく質の量を個別に相談してください。

✅ 歩くことに、無理のない筋トレを足す

短い散歩に加え、椅子からの立ち座りや、支えにつかまってのかかと上げなどを取り入れます。筋トレは週2〜3日を目安に、痛みや体力に合わせて調整しましょう。心臓病や糖尿病の合併症がある場合は、運動内容を主治医に確認します。

✅ 体重と「健康の変化」を一緒に記録する

同じ条件で測った体重の推移に加え、家庭血圧、健診結果、息切れや階段の上りやすさなども確認します。睡眠時間や間食の記録は、改善点を探す助けになります。インスリンなどを使用中の方は、食事・運動の変更で低血糖が起こることがあるため、薬を自己調整せず相談してください。

☝️ まとめ

肥満症の治療は、健康障害を改善するための医療です。まずはご自身に合う減量目標を立て、食事と運動を組み合わせ、必要に応じて治療を調整します。標準体重まで減らせていなくても、取り組みを評価することはできます。

健診で体重増加と血糖・血圧・脂質・肝機能の異常を指摘された方、自己流の減量が続かない方はご相談ください。初台まちのクリニックでは、糖尿病専門医が健康状態を確認し、管理栄養士などと連携して治療を考えます。当院の肥満症外来での薬物治療は自由診療です。適応、費用、リスクをご確認のうえ、ご相談いただけます。

初台まちのクリニック
初台駅南口から徒歩1分

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【参考文献・参考資料】

  1. Ogawa W, Hirota Y, Miyazaki S, et al. Definition, criteria, and core concepts of guidelines for the management of obesity disease in Japan. Endocr J. 2024;71(3):223–231. DOI: 10.1507/endocrj.EJ23-0593. PMID: 38123337. 論文
  2. 日本肥満学会編.肥満症診療ガイドライン2022.ライフサイエンス出版,2022.第5章「肥満症の治療と管理」.学会公開資料
  3. Muramoto A, Matsushita M, Kato A, et al. Three percent weight reduction is the minimum requirement to improve health hazards in obese and overweight people in Japan. Obes Res Clin Pract. 2014;8(5)–e475. DOI: 10.1016/j.orcp.2013.10.003. PMID: 25263836. PubMed
  4. Binmahfoz A, Dighriri A, Gray C, Gray SR. Effect of resistance exercise on body composition, muscle strength and cardiometabolic health during dietary weight loss in people living with overweight or obesity: a systematic review and meta-analysis. BMJ Open Sport Exerc Med. 2025;11(3). DOI: 10.1136/bmjsem-2024-002363. PMID: 40909191. PubMed
  5. 厚生労働省.最適使用推進ガイドライン チルゼパチド〈肥満症〉.2026年5月改訂.資料
  6. 厚生労働省.最適使用推進ガイドライン セマグルチド〈肥満症〉.2026年6月改訂.資料

※本記事は2026年10月16日時点の資料に基づく一般的な医学情報です。診断・減量目標・治療の適応は、年齢や持病などにより異なります。個別の診療に代わるものではありません。

院長 富田恭子

この記事の監修

富田 恭子初台まちのクリニック 院長/日本糖尿病学会 糖尿病専門医

経歴

  • 2008年 福岡大学医学部医学科 卒業
  • 鳥取大学医学部附属病院、山陰労災病院、上尾中央総合病院、総合健診センターヘルチェック 勤務

資格・所属学会

  • 日本糖尿病学会 糖尿病専門医
  • 日本内科学会 内科認定医
  • 日本医師会認定産業医/認知症サポート医
  • 抗加齢医学会 会員/日本フットケア・足病医学会 会員

糖尿病は初期に自覚症状が乏しく、放置すると合併症につながることがあります。糖尿病専門医として、将来の合併症を見据えながら「今できること」を一人ひとりと一緒に考え、継続して治療を進めます。

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