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糖尿病

空腹時血糖の基準値と境界域で次にすべきこと

空腹時血糖の基準値は、一般的に空腹時100mg/dL未満が正常の目安とされ、100〜125mg/dLだった場合は「境界域」として、日を改めた再検査や精密検査で本当の状態を確かめていくのが次の一手です。健診の紙を見て不安になった方も、あわてなくて大丈夫です。数値の意味と、その先の具体的な流れを整理していきます。

空腹時血糖とは、10時間以上の絶食後に測る血糖値のことです。結論として、空腹時血糖の基準値は正常が100mg/dL未満、100〜125mg/dLは境界域、126mg/dL以上は糖尿病型が疑われる範囲とされ、境界域では放置せず再検査へ進むことがすすめられています。

空腹時血糖の基準値と境界域はどこからか

空腹時血糖の基準値は、日本糖尿病学会の考え方をもとにすると、空腹時100mg/dL未満が正常型、110〜125mg/dLが境界型(空腹時)、126mg/dL以上が糖尿病型が疑われる範囲として整理されています。100〜109mg/dLは「正常高値」と呼ばれ、正常の中でも少し高めで注意が向く帯です。ここでいう空腹時とは、前日の夕食後から検査までおおむね10時間以上、水やお茶以外を口にしていない状態を指します。

空腹時血糖 判定の目安
100mg/dL未満 正常型
100〜109mg/dL 正常高値(正常の中で高め)
110〜125mg/dL 境界型(いわゆる境界域)
126mg/dL以上 糖尿病型が疑われる

ここで大切なのは、空腹時血糖は1回の測定だけでは確定しないという点です。前日の食事や睡眠、体調、当日きちんと絶食できていたかでも数値は動きます。ですから境界域や糖尿病型の値が出ても、それは「今日の一枚の写真」であって、次に何回か確かめて判断していくものだと受け止めてください。

境界域だったとき次に何をするか

空腹時血糖が境界域(100〜125mg/dL)だったときにまずすべきことは、健診結果を放置せず、日を改めた再検査を受けることです。境界域は「まだ糖尿病ではないけれど、正常より進みやすい入口」に立っている状態で、この段階で手を打てるかどうかが、その後の数年を大きく分けます。次の順番で動くと迷いません。

  1. 健診の判定欄と、空腹時血糖・HbA1cの数値をメモに書き出す。
  2. 結果票を持って、内科・糖尿病内科をなるべく1〜2か月以内に受診する。
  3. 医師と、絶食できていたか・体調・家族歴などの背景を確認する。
  4. 必要に応じて再検査や精密検査(後述)の予定を決める。
  5. 並行して、食事と生活で今日からできる工夫を一つ始める。

健診で「要再検査」と書かれていても、自覚症状がないと後回しにしてしまいがちです。放置したときに何が起こりうるか、受け方の段取りは健診の再検査を放置するリスクと受け方で具体的に整理していますので、あわせて読んでみてください。

再検査と精密検査(HbA1c・75gOGTT)の流れ

境界域からの精密検査は、まず再度の空腹時血糖とHbA1cを確認し、判断がつきにくいときに75gOGTT(ブドウ糖負荷試験)へ進むのが一般的な流れです。HbA1cは過去1〜2か月の血糖の平均を映す指標で、6.5%以上だと糖尿病型が疑われる範囲とされます。75gOGTTは、ブドウ糖の入った甘い液を飲み、時間ごとに血糖の上がり方と戻り方を見る検査です。

検査 見るもの 判定の目安
空腹時血糖(再検査) その日の空腹時の値 126mg/dL以上で糖尿病型を疑う
HbA1c 1〜2か月の平均 6.5%以上で糖尿病型を疑う
75gOGTT 2時間値 糖を飲んだ後の戻り方 140未満は正常型/140〜199は境界型/200以上で糖尿病型を疑う

空腹時血糖は正常でも、食後の血糖だけが高いタイプ(食後高血糖)が75gOGTTで初めて見つかることもあります。空腹時の数値だけで安心しきれないのはこのためです。検査当日は絶食が必要で、いつもの薬がある方は事前に医師へ伝えておくと安心です。どの検査まで進めるかは、数値の高さや家族歴、体重の変化などを見ながら一緒に決めていきます。

受診を急いだほうがよいサイン

空腹時血糖が境界域でも、次のような体のサインがあるときは、次の健診を待たずに早めの受診をおすすめします。これらは血糖が高い状態が続いているときに出やすい変化で、自己判断で様子見をしないことが大切です。

  • のどが強く渇き、水を飲んでも渇きが取れない。
  • 尿の回数や量が増え、夜間に何度も起きる。
  • 食べているのに体重が落ちてきた。
  • 強い疲れやだるさが続く。
  • 目のかすみ、足の小さな傷の治りにくさが気になる。

とくに、ダイエットをしていないのに体重が減るときは注意が必要で、背景の考え方はダイエットしていないのに体重が落ちるとき何を考えるかで説明しています。糖尿病専門医として合併症の入口を早く見つけることを大切にしていますので、気になるサインがあれば遠慮なく相談してください。

境界域から始める食事と生活の工夫

境界域の段階で取り組みたいのは、血糖を急に上げにくい食べ方と、続けられる生活リズムづくりです。境界域は、食事と体重・活動の見直しで数値が落ち着きやすい時期でもあり、頑張りすぎず一つずつ変えていくのが長続きのコツです。以下は今日から試しやすい工夫です。

  • 野菜やたんぱく質を先に、主食のごはん・パンは後にまわす食べ順にする。
  • 朝食を抜かず、血糖を上げにくい組み合わせで軽くでも食べる。
  • 清涼飲料・菓子パンなど、糖質が液体や単体で入るものを減らす。
  • 食後に10分ほど歩くなど、こまめに体を動かす。
  • 睡眠を削らず、体重は少しずつでも減らす方向を意識する。

朝の一食の組み立ては数値に響きやすいので、忙しい朝でも血糖を上げにくい朝食の組み立て方や、オートミールが血糖値に良いとされる理由と食べ方も参考になります。当院は肥満症外来も設けており、体重と生活習慣の両面から一緒に無理のない目標を考えていきます。京王新線初台駅の近くで、まちのかかりつけ医として気軽に立ち寄れる場所でありたいと思っています。

よくある質問

空腹時血糖が110でも糖尿病ではないですか?

110mg/dLは境界型(境界域)にあたり、その1回だけでは糖尿病とは判定しません。ただし正常より進みやすい入口なので、日を改めた再検査とHbA1cの確認を受け、必要なら精密検査で確かめることをおすすめします。

再検査までどのくらいの期間で受ければよいですか?

明確な期限が決まっているわけではありませんが、境界域や糖尿病型の値が出たら、なるべく1〜2か月以内に受診しておくと安心です。自覚症状の強いサインがある場合は、次の健診を待たず早めに相談してください。

空腹時血糖は正常なのにHbA1cが高いのはなぜですか?

空腹時は正常でも、食後だけ血糖が高く上がる食後高血糖があると、平均を映すHbA1cが高めに出ることがあります。この差を確かめるために75gOGTT(ブドウ糖負荷試験)が役立ちます。片方の数値だけで判断しないことが大切です。

検査の前はどんな準備が必要ですか?

空腹時血糖や75gOGTTは、おおむね10時間以上の絶食が必要で、水やお茶以外は控えます。いつも飲んでいる薬がある方は、当日どうするか事前に医師へ伝えてください。前日の激しい運動や睡眠不足も数値に影響しやすいので、普段どおりの生活で臨むと安定します。

境界域は食事だけで戻せますか?

境界域は食事の食べ方・体重・運動の見直しで数値が落ち着きやすい時期ですが、戻り方には個人差があり、必ず正常化すると保証はできません。だからこそ、生活の工夫を続けながら定期的に数値を確認し、変化を早めにつかむことが役立ちます。

院長 富田恭子

この記事の監修

富田 恭子初台まちのクリニック 院長/日本糖尿病学会 糖尿病専門医

経歴

  • 2008年 福岡大学医学部医学科 卒業
  • 鳥取大学医学部附属病院、山陰労災病院、上尾中央総合病院、総合健診センターヘルチェック 勤務

資格・所属学会

  • 日本糖尿病学会 糖尿病専門医
  • 日本内科学会 内科認定医
  • 日本医師会認定産業医/認知症サポート医
  • 抗加齢医学会 会員/日本フットケア・足病医学会 会員

糖尿病は初期に自覚症状が乏しく、放置すると合併症につながることがあります。糖尿病専門医として、将来の合併症を見据えながら「今できること」を一人ひとりと一緒に考え、継続して治療を進めます。

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