- 12月 2, 2024
糖尿病と癌の関係
インフルエンザによる感染症も少しずつ増えてきましたが、気が付けばあっという間に11月が終わろうとしていて今年もあと1か月くらいとなってしまいました。(こないだお正月だったような気がするのですが、、。)
秋には検診をうけられたかたも多いと思いますが、どうでしょうか?
患者様の中には、普段かかっている病院があって採血をしてるから検診は受けてないよ、といった方もおられますが、糖尿病があると特に癌の合併が多いとされていますので、定期のいつもの診察に加えて、検診を受けたり、またはかかりつけの病院で、腹部エコーや、胃・大腸カメラ、レントゲン検査など定期的に受けるようにしましょう。
日本での2011~20年における糖尿病患者の死因は、多い順に、がん(38.9%)、感染症(17.0%)、血管障害(10.9%)となっていて、糖尿病患者のがん死リスクは一般人よりも高く、糖尿病を有するがん患者は生命予後・術後予後も不良であることが示されています。
糖尿病に伴う発がんリスクのがん種別では、海外のデータによると、リスクが高い順に、肝がん(糖尿病がない人と比べて2.2倍)、膵がん(2.1倍)、子宮がん(1.6倍)、胆嚢がん(1.6倍)、腎がん(1.3倍)、大腸がん(1.3倍)などが並んでいる2)。国内のデータによると、肝がん(2.0倍)、膵がん(1.9倍)、大腸がん(1.4倍)となっており3)、主に消化器系の発がんリスクが有意に高いとなっています。
おもな原因としては、高血糖、高インスリン血症(血糖値があがるとインスリン(血糖値を下げるホルモン)が過剰に分泌されている状態)が正常細胞を癌化し増殖させる、などいくつか言われていますが、血糖コントロールのみが癌リスクを下げるか?という研究によると、かならずしもそうではなく、厳格な血糖管理をしても癌のリスクがほとんど変わらなかったといった報告があります。
それとは別に、HbA1c(血糖値の1-2か月平均値)の変動が大きい人ほど、癌リスク、癌死亡リスクが高くなるのではないか?という研究においては、リスクが高くなった、という報告があり、関係があるかもしれないといわれています。
ただ、因果関係にあるとははっきりとは言い切れず、血糖変動幅を是正することによりリスクが低下するとは言い切れませんが、、、
血糖値の変動をなるべく少なくすることは、癌予防として効果的といえそうです。
継続的な治療でHbA1cの値を安定させることは日々の患者様の努力が必要不可欠ですが、食事のことや運動のこと、そのほか治療に関してなど当院でお気軽にご相談ください。
初台まちのクリニック
富田恭子