- 12月 14, 2023
糖尿病薬(GLP1受容体作動薬)が肥満患者の心筋梗塞、脳卒中のリスクを減らせる可能性
今問題となっている減量目的で美容医療でも用いられているGLP1作動薬(セマグルチドなど)ですが、
先日NHKでもその件放送されていたようですね(まだみれていませんが)
減量目的で多く利用されていたために糖尿病のかたに行き渡っていない、新規導入ができない状況となっています。
そのGLP1作動薬について・・・ですが、糖尿病ではない、肥満患者でリスクのあるかたにGLP1作動薬を投与した場合に心筋梗塞や脳卒中のリスクを下げられるかの論文においては明らかにされていませんでしたが、NEJM誌オンライン版2023年11月11日号掲載の報告によると、セマグルチド皮下投与はプラセボと比較し、心血管死・非致死的心筋梗塞・非致死的脳卒中の複合エンドポイントの発生率を有意に減少した・・
とされています。研究グループは、45歳以上でBMI値27以上、心血管疾患(心筋梗塞、脳卒中、症候性末梢動脈疾患)既往があるが糖尿病の既往のない患者を登録し、セマグルチド群とプラセボ群に1対1の割合に無作為に割り付け、週1回皮下投与した結果、心血管イベントは20%有意に減少したというものでした。
もともと肥満で心血管疾患の既往がある方はハイリスクとなるので、この結果をふまえると糖尿病がなくともGLP1受容体作動薬は使用してもメリットがありそうです。。
その一方で、、体重減少の目的の使用によっておこる有害事象(腸閉塞、胃不全麻痺など)も言われています。カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のMohit Sodhi氏らの研究グループは、米国の大規模保険請求データベースを用いて、実臨床における体重減少目的でのGLP-1受容体作動薬の使用と消化器有害事象の関連を検討した結果、体重減少目的でのGLP-1受容体作動薬の使用は、肥満症治療薬(bupropion・naltrexone配合剤)と比較して、膵炎、腸閉塞、胃不全麻痺のリスクを増加させたと報告されています。(AMA誌オンライン版2023年10月5日号にResearch Letter掲載)
もちろん、そのような有害事象は糖尿病のかたにも同様にリスクとしてはありますが、糖尿病の方が使用した場合にはリスクよりも、合併症を予防できるメリットのほうが上回りますが(腸閉塞や膵炎の既往がある方などを除いては)そこまで体重減量する必要がない方においてはデメリットもあり、また自費診療のために高額な費用もかかってきます・・・。
実際にわたしも、別なことで美容皮膚科を受診した際にアンケートで、興味がある項目にダイエット(私としては体重というよりも部分痩せをしたかったんですが)をチェックしたところ、診察医からGLP1作動薬を強めに勧められたことがあります・・・。美容医療においては興味のあるひとにはおそらく全員すすめられており、本当に必要かどうかは判断されてないように思いました。
その結果、供給不足という事態になってしまっているのでもっと早く、学会や国も対応していれば・・・と思ってしまいます。
近々販売となる、ウゴービ(GLP1受容体作動薬)においては糖尿病がなくても、BMI>35またはBMI>27で、肥満に関連する2つ以上の健康障害を有する人に、使用が可能となっていますが、同じような供給不足とならないためにも、必要なかただけが適切に使用してほしいと思います。
初台まちのクリニック
富田恭子