• 10月 11, 2024

週1回のインスリンVS1日1回インスリン 有効性の比較

急に寒くなってきて、子供が風邪をひいたりとなかなか落ち着かない季節となってきました。
当院ではインフルエンザワクチンを、10月から予約制で開始しています(13歳以上対応)
ご希望のかたは予約のうえご来院をお願いいたします☆

糖尿病の治療ではインスリン注射の治療をしておられるかたもいますが、今回は週1回のインスリン治療についてのブログです⇩

インスリン(血糖値を下げるために主に膵臓から分泌されているホルモン)の注射薬による治療には①基礎インスリン、②追加インスリンの治療がありますが、体内では食事をとっていないときにでも常に糖が産生されており、この時の糖の濃度を調整するために出ているのが基礎インスリンで、24時間持続性に分泌されており、追加インスリンは食事などをとったときに分泌されるインスリンです。

インスリン治療が必要不可欠となるのは1型糖尿病(初期からインスリン分泌が低下~ほとんど出ていないことが多い)や膵臓を摘出されたことにより発症した糖尿病の方(ほとんどインスリンが出ていないような方)などが適応となります。そのほか2型糖尿病(食生活や遺伝的要素、肥満などから発症)の場合にも病歴が長かったりで、インスリン分泌が低下してきているようなかたにも必要となってきます。

上記のような方には基礎インスリン補充は必要不可欠ですが、基礎インスリンは1日1回の注射が必要となり、中には治療が必要でも認知症であったり、高齢でインスリン治療をこれから覚えて毎日打つことが困難な方、毎日打つことをどうしても忘れてしまうかたなどもいました。

ですが、週1回のインスリン注射薬が開発され、1日1回のインスリン治療と比較しても効果が劣らないことが論文としても出ています。 論文抜粋 ↓

週1回投与のインスリン efsitoraα(efsitora)による治療は、1日1回投与のインスリン デグルデク(デグルデク)治療に対して、安全性および有効性はデグルデクと同等であることが示されました。(NEJM誌オンライン版2024年9月10日号掲載の報告。)
efsitora(週1回インスリン)の有効性についてデグルデク(1日1回インスリン)に対する効果の違いを評価しています ↓↓

 研究グループは、18歳以上で、インスリン投与歴がなく、スクリーニングの3ヵ月以上前から1~3種類の非インスリン血糖降下薬による治療を受けるもHbA1cが7.0~10.5%で、BMIが45.0以下の2型糖尿病患者を、efsitora群(週1回インスリン治療)またはデグルデク群(1日1回インスリン治療群)に1対1の割合で無作為に割り付けています。

 <efsitora群(週1回インスリン治療)では週1回100単位(初回のみ300単位)を、デグルデク群(1日1回インスリン治療群)では1日1回10単位から投与を開始し、空腹時血糖値80~120mg/dLを目標値として用量調整を行っています。48~52週の期間における持続血糖モニタリングによる血糖値が目標値70~180mg/dLの範囲内であった時間の割合などで評価し、安全性の評価項目には低血糖エピソードなどが含まれていました。>

結果として
平均HbA1c(血糖値の1-2か月平均値)は、週1回インスリン群ではベースライン時8.21%から52週時には6.97%に低下し、一方、デグルデク群では8.24%から7.05%に低下しました。
週1回インスリン治療薬は、1日1回インスリン治療と比べ有効性が劣っていないことがわかりました。
(血糖値が目標範囲内であった時間の割合は、週1回インスリン群で64.3%、1日1回インスリン群で61.2%であり、また、重度の低血糖の発現頻度においても両者で有意差が認められませんでした。)

週1回のインスリン治療は、患者さんの負担を減らし、さらに血糖コントロールも安定していける治療として期待されます。当院でも処方可能となりましたら、治療の提案をさせていただきたいと思っております。

初台まちのクリニック 03-5333-2727 ホームページ