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クリニックブログ blog

糖尿病

糖尿病のレシピを簡単に|平日の夕食、主食から決める順番

「簡単」でいいのは、続くことが食事療法の中身だから

糖尿病と言われたあと、多くの方が最初に困るのが「で、明日の晩ごはんは何を作ればいいのか」というところです。本を買って手の込んだ献立を試しても、仕事から帰った平日の夜には再現できません。食事の工夫は、一度きりの完璧さよりも、来週も再来週も同じやり方で回せることのほうが意味を持ちます。ですからこの記事では、レシピを一つずつ覚えるのではなく、毎回同じ順番で皿を決める「型」を先にお伝えします。型が決まると、冷蔵庫にあるものを当てはめるだけになり、考える時間そのものが減ります。

なお、糖尿病の食事のあり方は一人ひとりの体格・活動量・薬の内容・腎臓の状態などによって変わります。ここで紹介するのはあくまで一般的な組み立ての考え方で、具体的な量や制限の要否は主治医や管理栄養士と確認してください。

組み立ては「主食→主菜→副菜」の順に決める

主食・主菜・副菜の順に献立を組み立てる流れを示した図

献立を考えるとき、多くの方は「今日のメインは何にしよう」から始めます。それでも構わないのですが、血糖を意識するなら主食(ごはん・パン・麺)から先に決めるほうが迷いません。食後の血糖に最も関わるのは主食の炭水化物だからです。主食が決まると、その日に添えるおかずの方向も自然に絞られます。

順番 決めること 平日の最短手
①主食 何を、どのくらい食べるか。白米か、麦や雑穀を混ぜるか 混ぜご飯用の麦をまとめて炊いて小分け冷凍
②主菜 たんぱく質を一皿。肉・魚・卵・大豆製品から一つ 焼く・蒸す・和えるの3手だけで回す
③副菜 野菜・きのこ・海藻を一〜二皿 冷凍野菜、カット野菜、乾物、缶詰でよい

主食は「減らす」より先に「変える」

いきなり主食を大きく減らすと、空腹に耐えられず間食が増えたり、その反動で夜に食べ過ぎたりしがちです。まず試しやすいのは、白米に麦や雑穀を混ぜる、パンなら精製度の低いものを選ぶといった置き換えです。麦類には水溶性食物繊維が含まれ、食物繊維は糖の吸収の速さに関わる成分として知られています(感じ方や数値の変化には個人差があります)。続け方はもち麦の効果|血糖・食物繊維と続け方がわかるにまとめています。

また「低GIならいくらでもよい」という考え方には落とし穴があります。同じ食品でも調理法や一緒に食べるもので変わるためです。この点は低GI 食品 一覧|血糖が気になる人の見方と落とし穴で詳しく触れています。

主菜は「調理法3つ」だけ覚える

レシピを増やすより、調理法を絞るほうが平日はラクです。焼く(フライパン・魚焼きグリル)/蒸す(電子レンジ・鍋)/和える(火を使わない)の3つに決めてしまい、食材だけを日替わりにします。鶏むね肉を蒸して割く、鮭を焼く、豆腐に薬味を和える。この3手であれば、材料が変わっても手順を考え直す必要がありません。

揚げ物を絶対に避ける必要はありませんが、衣は炭水化物でもあるため、揚げ物の日は主食の量やもう一皿の内容で調整する、という考え方にしておくと続きます。

副菜は「作る」より「置いておく」

副菜でつまずく方はとても多いのですが、ここは手作りにこだわらなくて構いません。冷凍のほうれん草やブロッコリー、カットわかめ、切り干し大根、ツナ缶やさば缶、蒸し大豆のパックなど、買い置きできるものを常に切らさないほうが結果的に野菜が増えます。冷凍野菜の栄養については冷凍野菜って栄養はあるの?おいしく上手に活用するコツもご覧ください。どんな食材に食物繊維が多いかは食物繊維が多い食べ物、血糖と便通で選び方が変わりますで整理しています。

作り置きは「料理」ではなく「下ごしらえ」にする

作り置きを下ごしらえで止め、当日に味付けする分担を示した図

作り置きというと完成したおかずを何品も並べる印象がありますが、平日を回すには途中まででやめておくほうが向いています。味を付けきってしまうと飽きますし、同じ味が続くと結局買ってきたお惣菜に手が伸びます。

止めておく位置の目安

  • 野菜:洗って切る、またはさっと火を通すところまで。味付けはその日に
  • たんぱく質:ゆでる・蒸すまで。割く、切る、和えるは食べる直前
  • 主食:炊いて小分けにして冷凍。解凍するだけの状態に
  • 汁物:具だけを冷凍袋にまとめておき、当日に水と味噌や出汁を足す

この状態で置いておくと、平日の調理は「温める」「和える」の二動作で終わります。保存は清潔な容器に入れ、冷蔵は早めに食べきる分、それ以外は冷凍、と最初に分けておくと迷いません。においや見た目に少しでも違和感があるときは食べないでください。

週の回し方の一例

タイミング やること
買い物の日 主菜になる食材を3種類、副菜の買い置きを補充
休日の空き時間 ごはんの小分け冷凍、野菜の下ごしらえ、たんぱく質を加熱
平日 主食を解凍→主菜を温めるか和える→副菜を器に出す
疲れた日 具だけ冷凍の汁物+ごはん+納豆や豆腐でよしとする

「疲れた日」の行を最初から決めておくのがコツです。逃げ道が用意されていないと、崩れた日にそのまま全部やめてしまいがちだからです。

味付けと食べ方で気をつけたい二点

ひとつは塩分です。糖尿病では高血圧や腎臓への負担も一緒に考える場面が多く、濃い味付けは食べ過ぎにもつながります。出汁、酢、柑橘、香辛料、ごま、のりなど、塩以外で輪郭をつける材料を数種類用意しておくと、薄味でも物足りなさが出にくくなります。

もうひとつは食べる順番と速さです。野菜やたんぱく質の皿から食べ始め、よく噛んでゆっくり進めるやり方は、食事にかかる時間そのものを延ばします。順番による効果の感じ方には個人差がありますが、早食いを避けること自体は取り入れやすい工夫です。

甘いものをどう扱うか

完全に断つと反動が来る方も多いので、食べる時間と選び方を決めておくほうが現実的です。市販品のラベルの見方は糖尿病のおやつを市販品で選ぶとき|表示の3か所と食べる時間、表示の言葉の違いは「糖質」と「糖類」はどう違う?食品表示の見方が参考になります。

外食・中食が続く週の考え方

自炊できない日を「失敗」と数えると長続きしません。外で食べる日は、次の三点だけ意識すれば十分です。

  1. 単品より定食:丼や麺の単品は主食に偏りやすく、定食型のほうが主菜と副菜が自然に入ります
  2. 主食の量を先に決める:大盛りを頼まない、麺の汁を飲みきらない、といった一点だけ決めておきます
  3. 足りない皿を足す:コンビニなら、サラダ・お浸し・味噌汁・ゆで卵・納豆のどれかを一つ追加する

週の合計で整えばよい、という見方に切り替えると、外食の翌日の献立も決めやすくなります。

よくあるつまずきと、その原因

頑張りすぎて三日で終わる

初日に何品も作り、翌週には何もしていない——これは意志ではなく設計の問題です。最初の一か月は「ごはんの小分け冷凍」と「副菜の買い置き」の二つだけに絞っても構いません。

家族の食事と別に作れない

別メニューにする必要は基本的にありません。同じおかずを作り、ご飯の量と副菜の数だけ自分の分を変えるほうが続きます。取り分けてから味を足す方式にすれば、家族は物足りなさを感じにくくなります。

体重も数値も変わらない気がする

食事の見直しは、変化が数字に出るまで時間がかかることがあります。また薬の内容や腎臓・肝臓の状態によって、勧められる食べ方が変わる場合もあります。自己流で主食を大きく減らし続けているうちに体調が落ちてきた、ふらつきが出る、体重が意図せず減っていく——こうしたときは、次の受診を待たずに相談してください。

当院の栄養相談という選択肢

「型は分かったが、自分の場合はどこまで減らせばいいのか」という具体的なところは、どうしても個別の判断になります。当院には管理栄養士が在籍しており、院内の栄養相談室で栄養相談を行っています。完全予約制ですので、ご希望の方は受付スタッフへお申し出ください。院長・管理栄養士・看護師が情報を共有しながら進めています。

当院は糖尿病専門医による診療を行っており、血糖値・HbA1cは院内で測定して当日にお話しできる体制です。診療は月・木が9:00〜12:30と14:15〜18:15、水は8:20〜12:30と13:15〜15:00、金は9:00〜12:30と13:15〜17:30(金曜は非常勤医師が対応します)、土は9:00〜14:00で、火・日・祝は休診です。受付終了は診療終了と同じ時刻ですので、平日に時間が取りにくい方は土曜も選べます。デジスマ診療のWeb予約・Web問診にも対応しています(診療対象は15歳以上です)。

食事は毎日のことなので、一度に全部を変える必要はありません。主食を決める、副菜を切らさない、疲れた日の逃げ道を用意する。まずはこの三つから始めてみてください。

料理が苦手でも続けられる食事の工夫はありますか
調理そのものを減らす方向で組み立てると続けやすくなります。ごはんは炊いて小分け冷凍し、たんぱく質は焼く・蒸す・和えるの三つの手順だけに絞り、野菜は冷凍野菜やカット野菜、乾物、缶詰の買い置きで補います。この形なら平日は温めて器に出すだけになり、レシピを覚え直す必要がありません。
糖尿病と言われたら主食は抜いたほうがよいのでしょうか
自己判断で大きく抜くことはおすすめしません。空腹の反動で間食や夜の食べ過ぎにつながることがあり、使っている薬の種類によっては注意が必要な場合もあります。まずは白米に麦や雑穀を混ぜる、丼や麺の単品を定食型に替えるといった置き換えから始め、量をどこまで調整するかは主治医や管理栄養士と確認してください。
作り置きはどこまで作っておくとよいですか
味を付けきらず、下ごしらえで止めておく方法が向いています。野菜は洗って切るかさっと火を通すまで、肉や魚はゆでる・蒸すまでにして、味付けは食べる日に行います。同じ味が続かないので飽きにくく、和食にも洋風にも回せます。保存は清潔な容器に入れ、冷蔵で早めに食べきる分と冷凍する分を最初に分けておくと扱いやすくなります。
外食や中食が続く週はどう考えればよいですか
一食ごとに完璧を目指さず、週の合計で整える見方に切り替えます。丼や麺の単品より主菜と副菜が揃う定食型を選ぶ、大盛りを頼まない、麺の汁を飲みきらない、コンビニならサラダやお浸し、味噌汁、ゆで卵、納豆などを一品足す。この程度の決め事だけでも、外食の日の偏りは小さくできます。
栄養相談は誰でも受けられますか
初台まちのクリニックには管理栄養士が在籍し、院内の栄養相談室で栄養相談を行っています。完全予約制ですので、ご希望の方は受付スタッフへお申し出ください。診療対象は15歳以上(高校生以上)の方です。

院長 富田恭子

この記事の監修

富田 恭子初台まちのクリニック 院長/日本糖尿病学会 糖尿病専門医

経歴

  • 2008年 福岡大学医学部医学科 卒業
  • 鳥取大学医学部附属病院、山陰労災病院、上尾中央総合病院、総合健診センターヘルチェック 勤務

資格・所属学会

  • 日本糖尿病学会 糖尿病専門医
  • 日本内科学会 内科認定医
  • 日本医師会認定産業医/認知症サポート医
  • 抗加齢医学会 会員/日本フットケア・足病医学会 会員

糖尿病は初期に自覚症状が乏しく、放置すると合併症につながることがあります。糖尿病専門医として、将来の合併症を見据えながら「今できること」を一人ひとりと一緒に考え、継続して治療を進めます。

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