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糖尿病

食物繊維が多い食べ物、血糖と便通で選び方が変わります

食物繊維は「どれを食べるか」より「どの種類を足すか」

健診で血糖値やコレステロールを指摘されたあと、「食物繊維を増やしましょう」と言われた方は多いと思います。当院の栄養相談でも、いちばん多いご質問のひとつです。ただ、ここでよくあるのが「野菜サラダをたくさん食べているのに、便通も数値も変わらない」というお悩みです。

食物繊維には大きく水溶性と不溶性の2種類があり、体の中での働き方が違います。血糖の上がり方をゆるやかにする方向に働きやすいのは水溶性、便のかさを増やして腸の動きを促す方向に働きやすいのは不溶性です。つまり「食物繊維が多い食べ物」を知るだけでは足りず、自分が増やしたいのはどちらなのかを決めたほうが、選ぶものがはっきりします。

この記事では、食物繊維が多い食べ物を種類ごとに整理し、1日の目標量の考え方、毎日の食事に足すときの順番、おなかが張るときの対処までをまとめます。

水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の違い

水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の性質と代表的な食べ物を対比した図

まず、2つの性質を整理します。

水溶性食物繊維 不溶性食物繊維
性質 水に溶けてとろみのある状態になる 水に溶けず、水分を含んでふくらむ
体の中での主な働き方 胃から腸への移動をゆるやかにし、糖や胆汁酸・コレステロールの吸収に関わる 便のかさを増やし、腸の内容物が移動する刺激になる
気にしている人 食後の血糖の上がり方、LDLコレステロール 便が硬い、出にくい
多く含む食べ物の例 大麦(もち麦)、オーツ麦、こんにゃく、海藻類、果物(りんご、柑橘など)、里いも、オクラ、納豆 穀類の外皮、豆類、きのこ類、根菜、葉物野菜、ナッツ、さつまいも

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、食物繊維は水溶性・不溶性を分けずに総量で目標量が示されています。ですので実際の食事では、どちらかに偏らせるのではなく「両方を含む食品を組み合わせる」のが現実的です。実際、大麦や豆類、海藻のように両方を持っている食材が多くあります。

1日の目標量はどのくらいか

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、食物繊維の目標量として、18〜64歳で男性21g以上/日、女性18g以上/日、65歳以上で男性20g以上/日、女性17g以上/日が示されています。一方、厚生労働省「令和5年国民健康・栄養調査」の結果では、日本人の食物繊維摂取量の平均は成人で1日18g前後にとどまっており、多くの世代で目標量に届いていません。

数字だけ見ると「あと数グラム」ですが、これは野菜を一皿足すだけでは埋まりにくい差です。というのも、日本人が食物繊維をもっとも多く摂っている供給源は野菜ではなく穀類だからです。ここが増減の要になります。

なお、当院では栄養相談で、管理栄養士がその方の実際の食事内容をもとに不足の見当をつけていきます。個々の食品のグラム数を覚えていただく必要はありません。

食物繊維が多い食べ物を、グループごとに見る

穀類:いちばん動かしやすいところ

白米、食パン、うどんは、毎日ほぼ同じ量を食べる方が多い枠です。ここを繊維の多いものに替えると、意識しなくても毎日の総量が上がります。

  • 大麦(もち麦・押し麦)…白米に混ぜて炊く。水溶性の一種であるβ-グルカンを含みます
  • オートミール(オーツ麦)…同じくβ-グルカンを含みます
  • 玄米、雑穀ごはん
  • 全粒粉のパン、ライ麦パン…原材料表示の先頭に全粒粉やライ麦が来ているかを確認します
  • そば

白米に混ぜる形なら味の変化が小さく、続けやすい方が多い印象です(感じ方には個人差があります)。大麦についてはもち麦の効果|血糖・食物繊維と続け方がわかるでくわしく扱っています。

豆類:繊維量が多く、たんぱく質も一緒にとれる

  • 大豆、納豆、おから
  • いんげん豆、ひよこ豆、レンズ豆
  • 小豆、えんどう豆

豆類は食品全体の中でも食物繊維が多いグループです。水煮の缶詰やパウチを常備しておくと、サラダやスープに入れるだけで足せます。

いも類・根菜:不溶性が主体で、水溶性も含む

  • さつまいも、里いも、山いも
  • ごぼう、れんこん、にんじん
  • こんにゃく(水溶性のグルコマンナン由来)

いも類は炭水化物も含みますので、主食を別にたっぷり食べたうえで足すと全体量が増えます。ごはんの量を少し調整しながら組み込むのが現実的です。

野菜:量を稼ぐより「種類を散らす」

  • ブロッコリー、芽キャベツ、オクラ、モロヘイヤ
  • ほうれん草、小松菜などの葉物
  • かぼちゃ、たけのこ

レタスやきゅうりなど水分の多い生野菜は、見た目のかさに対して食物繊維はさほど多くありません。加熱してかさが減るもの、豆やきのこと一緒に食べられるものを選ぶと効率が上がります。冷凍野菜も選択肢になります(冷凍野菜って栄養はあるの?おいしく上手に活用するコツ)。

きのこ類・海藻類:カロリーを増やさずに足せる

  • しいたけ、えのき、まいたけ、しめじ、きくらげ
  • わかめ、ひじき、昆布、もずく、寒天

海藻の粘りのもとは水溶性食物繊維です。汁物に乾燥わかめを入れる、もずくを一品足すといった形なら手間がかかりません。ただし海藻にはヨウ素が多く含まれるものがあり、甲状腺の病気で治療中の方は摂り方を主治医に確認してください。また、ひじきなどはカリウムも多いため、腎臓の働きが落ちていてカリウム制限を受けている方は注意が必要です(カリウムが多い食べ物|増やす人と控える人の違い)。

果物・種実類

  • キウイ、りんご(皮つき)、洋なし、いちご、柑橘類
  • アボカド
  • ドライフルーツ(プルーン、干し柿、干しいちじく)
  • アーモンド、くるみ、ごま、チアシード

果物は水溶性のペクチンを含みますが、果糖も含みます。血糖が気になる方は、ジュースではなく果実のまま、量を決めて食べる形にしてください。ドライフルーツは水分が抜けている分、少量でも糖の量がまとまります。

血糖・コレステロール・便通のどれを目的にするかで選び方が変わる

気にしていること 優先したい種類 足し方の例
食後の血糖の上がり方 水溶性を主食と一緒に 白米にもち麦を混ぜる/朝食をオートミールにする/食事の最初に海藻やきのこの小鉢を食べる
LDLコレステロール 水溶性(β-グルカン、ペクチンなど) 大麦・オーツ麦を主食に入れる/豆類を常備する
便が硬い・出にくい 不溶性+水分 玄米や全粒粉パン、きのこ、根菜、豆を増やし、水分もあわせてとる
便が細い・残便感がある 水溶性も足す 不溶性だけに偏らせず、海藻・大麦・果物も組み合わせる

不溶性だけを急に増やすと、水分が足りないときにかえって出にくくなることがあります。不溶性を増やすときは水分も一緒に、というのが基本の組み合わせです。

なお、食後血糖の上がり方には食べる順番も関わります。糖尿病治療における食事療法の位置づけは日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」で整理されていますが、食物繊維の摂取が推奨される一方、特定の食品で血糖が下がることを保証するものではありません。あくまで食事全体の組み立ての一部として考えてください。

1日のうちで食物繊維を足す現実的な手順

食物繊維を増やす5つの手順を示した図

順番をつけるなら、次のように進めると変えやすいと思います。

  1. 主食を替える…毎日必ず食べるものなので、効きが安定します。白米にもち麦を混ぜる、朝食をオートミールにする、パンを全粒粉にする
  2. 汁物に足す…乾燥わかめ、えのき、切り干し大根など、常温保存できるものを入れる
  3. 豆を常備する…納豆、水煮豆、おから。たんぱく質も一緒にとれます
  4. 小鉢を一品増やす…もずく、ひじき煮、きんぴら、ブロッコリー
  5. 間食を替える…菓子をナッツやヨーグルト、果物に替える(ヨーグルトの効果|量・タイミング・選び方がわかる

外食やコンビニが続く方は、丼やめん類の単品を減らし、副菜のついた定食や、サラダ・汁物・納豆を足す形にすると分量が変わります。パンやシリアルを選ぶときは、原材料表示で全粒粉・ライ麦・オーツ麦が前のほうに書かれているかを見るのが手がかりになります。「食物繊維入り」という表示だけでは、どの種類がどれだけ入っているかは分かりません。

おなかが張る、ガスが増えるときは

食物繊維を一気に増やすと、おなかの張りやガスが増えることがあります。腸内細菌が発酵させる過程で起こるもので、多くは体が慣れるにつれて落ち着いていきますが、つらいときは次のように調整してください。

  • 増やす量を一段下げる(もち麦の割合を減らすなど)
  • 1日のうち1食だけ替える形に戻す
  • 水分を一緒にとる
  • 豆類など発酵しやすいものは、少量から分けて食べる

一方で、次のような場合は食べ方の調整ではなく、医療機関で原因を確かめたほうがよい状況です。

  • 便に血が混じる、黒い便が出る
  • 体重が意図せず減っている
  • 急に便通のようすが変わり、もとに戻らない
  • 強い腹痛や吐き気を伴う
  • 食べ方を調整しても張りや痛みが悪化していく

また、大腸の手術後の方、炎症性腸疾患で治療中の方、腸閉塞を起こしたことがある方は、食物繊維を増やすこと自体に注意が必要です。自己判断で増やす前に主治医に確認してください。

当院でできること

当院は初台駅南口から徒歩1分の内科・糖尿病内科で、院長は日本糖尿病学会の糖尿病専門医です。院内にグリコヘモグロビン分析装置があり、血糖値とHbA1cの迅速検査を行っています。健診で血糖やコレステロールを指摘されたものの何から変えればよいか分からない、という段階でのご相談も承っています。

食事の内容を具体的に組み立てたい方には、管理栄養士による栄養相談があります。院内に栄養相談室があり、完全予約制ですので、ご希望の方は受付スタッフへお申し出ください。「食物繊維を増やしましょう」で終わらせず、いま実際に食べているものから、替えられるところを一緒に探していきます。

診療は月・木が9:00〜12:30と14:15〜18:15、水が8:20〜12:30と13:15〜15:00、金が9:00〜12:30と13:15〜17:30、土が9:00〜14:00です。火曜・日曜・祝日は休診で、金曜日は非常勤医師が対応します。受付終了時間は診療終了時間と同じですので、夕方の時間帯でも間に合います。デジスマ診療によるWeb予約・Web問診に対応しており、診療対象は15歳以上(高校生以上)です。

血糖の数値そのものの読み方は血糖値の正常値|空腹時・食後・HbA1cで見分ける、HbA1cの区分はHbA1cの基準値の読み方|数値ごとの受診目安がわかるでまとめています。

まとめ

食物繊維が多い食べ物は、穀類・豆類・いも類・野菜・きのこ・海藻・果物・種実類に広く散らばっています。増やすときは、まず毎日食べる主食を繊維の多いものに替えるのが動かしやすいところです。そして、血糖やコレステロールが気になるなら水溶性を含む大麦・オーツ麦・海藻・豆を、便通が気になるなら不溶性の穀類・きのこ・根菜と水分を、という組み合わせで考えると、選ぶものが決まります。急に増やして張るときは量を一段戻し、血が混じる・体重が減るといった変化があるときは食べ方の話ではなく受診の話になります。

食物繊維は1日にどのくらいとればよいのですか
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、食物繊維の目標量として18〜64歳で男性21g以上/日、女性18g以上/日、65歳以上で男性20g以上/日、女性17g以上/日が示されています。同省「令和5年国民健康・栄養調査」では成人の平均摂取量は1日18g前後で、多くの世代で目標量に届いていません。不足を埋めるには、野菜を足すだけでなく、毎日食べる主食を大麦入りごはんや全粒粉パンなど繊維の多いものに替える方法が現実的です。
水溶性食物繊維と不溶性食物繊維はどちらを増やせばよいですか
気にしていることで変わります。食後の血糖の上がり方やLDLコレステロールが気になる場合は、大麦・オーツ麦・海藻・こんにゃく・豆・果物など水溶性を含むものが選択肢になります。便が硬い・出にくい場合は、玄米や全粒粉、きのこ、根菜、豆などの不溶性を増やし、水分も一緒にとります。食事摂取基準では水溶性・不溶性を分けずに総量で目標量が示されているため、実際には両方を含む食品を組み合わせるのが現実的です。
サラダをたくさん食べれば食物繊維は足りますか
レタスやきゅうりなど水分の多い生野菜は、見た目のかさに対して食物繊維がさほど多くありません。加熱してかさが減る葉物や、ブロッコリー、きのこ、豆、海藻を組み合わせるほうが量を稼げます。また日本人が食物繊維をもっとも多く摂っている供給源は穀類ですので、白米を大麦入りにする、パンを全粒粉にするといった主食の見直しが効きやすい部分です。
食物繊維を増やしたらおなかが張るようになりました
腸内細菌が食物繊維を発酵させる過程で起こることがあり、多くは体が慣れるにつれて落ち着いていきます。つらいときは増やす量を一段下げ、1日1食だけ替える形に戻し、水分も一緒にとってください。ただし便に血が混じる、黒い便が出る、意図せず体重が減る、腹痛が悪化していくといった場合は食べ方の調整ではなく受診が必要です。大腸の手術後、炎症性腸疾患で治療中、腸閉塞を起こしたことがある方は、増やす前に主治医に確認してください。
食事の組み立てを具体的に相談できますか
初台まちのクリニックでは、管理栄養士が在籍しており栄養相談を行っています。院内に栄養相談室があり、完全予約制ですので、ご希望の方は受付スタッフへお申し出ください。院内にグリコヘモグロビン分析装置があり、血糖値とHbA1cの迅速検査も行っています。診療対象は15歳以上(高校生以上)です。

院長 富田恭子

この記事の監修

富田 恭子初台まちのクリニック 院長/日本糖尿病学会 糖尿病専門医

経歴

  • 2008年 福岡大学医学部医学科 卒業
  • 鳥取大学医学部附属病院、山陰労災病院、上尾中央総合病院、総合健診センターヘルチェック 勤務

資格・所属学会

  • 日本糖尿病学会 糖尿病専門医
  • 日本内科学会 内科認定医
  • 日本医師会認定産業医/認知症サポート医
  • 抗加齢医学会 会員/日本フットケア・足病医学会 会員

糖尿病は初期に自覚症状が乏しく、放置すると合併症につながることがあります。糖尿病専門医として、将来の合併症を見据えながら「今できること」を一人ひとりと一緒に考え、継続して治療を進めます。

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