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「油=体に悪い」は間違い?健康のために知っておきたい「脂質の選び方」

☝️ はじめに

「ダイエット中だから油はできるだけ控えている」
「コレステロールが高いから油は食べないほうがいい」

そんなふうに考えていませんか?

脂質は1gあたり9kcalとエネルギー量が多いため、摂りすぎれば体重増加につながります。

しかし、脂質は私たちの体に必要な栄養素でもあり、「油をできるだけ減らせば健康になる」というわけではありません。

近年の栄養学で重要視されているのは、単純な脂質の「量」だけではなく、

「どの脂質を、何に置き換えて食べるか」

という考え方です。

今回は、健康のために控えたい脂質と、普段の食生活に取り入れたい脂質について解説します。

☝️ まず知っておきたい「脂質の種類」

食事に含まれる脂質は、大きく分けると、

・飽和脂肪酸
・一価不飽和脂肪酸
・多価不飽和脂肪酸
・トランス脂肪酸

などがあります。

大切なのは「油だから良い・悪い」と判断するのではなく、脂肪酸の種類と食事全体のバランスを見ることです。

☝️ 摂りすぎに注意したい「飽和脂肪酸」

飽和脂肪酸は、

・肉の脂身
・バター
・生クリーム
・脂肪分の多い乳製品
・ラード
・ココナッツ油
・パーム油

などに多く含まれます。

飽和脂肪酸を多く摂取すると、LDLコレステロールが上昇しやすくなります。

特にLDLコレステロールが高い方や、心筋梗塞・脳梗塞などのリスクが高い方では、摂りすぎに注意する必要があります。

ただし、ここで重要なのが「何に置き換えるか」です。

バターや肉の脂などを減らした代わりに、お菓子や白いパンなどの精製された炭水化物を増やせばよいわけではありません。

飽和脂肪酸を減らし、その分を不飽和脂肪酸などに置き換えることが、心血管疾患の予防という点で重要です。

☝️ トランス脂肪酸はできるだけ控える

トランス脂肪酸、特に工業的に生成されたトランス脂肪酸の摂取は、心血管疾患のリスク上昇と関連しています。

そのため、WHOをはじめとした多くの機関が摂取量をできるだけ少なくすることを推奨しています。

ただし、

「マーガリンだから必ず大量のトランス脂肪酸が入っている」
「植物油脂と書いてあれば体に悪い」

という判断も正確ではありません。

製造方法や製品によって脂肪酸の組成は異なります。

特定の原材料名だけで食品を「良い・悪い」と決めるより、加工食品や菓子類、揚げ物などに偏らない食生活を意識することが大切です。

☝️ オメガ6脂肪酸は「悪い油」ではありません

ここは誤解されることが多いポイントです。

「オメガ6は炎症を起こすから減らしたほうがいい」

という情報を目にすることがあります。

しかし、オメガ6脂肪酸は体内で作ることのできない必須脂肪酸で、食事から摂取する必要があります。

大豆油、コーン油、ひまわり油などにも多く含まれています。

オメガ6脂肪酸を含む植物油を一律に「悪い油」と考える必要はありません。

むしろ、バターやラードなど飽和脂肪酸の多い脂質を、多価不飽和脂肪酸を多く含む植物油に置き換えることは、LDLコレステロールの低下や心血管疾患リスクの低下につながると考えられています。

「オメガ6を避ける」よりも、

「飽和脂肪酸に偏らず、不飽和脂肪酸を上手に取り入れる」

と考えるのがよいでしょう。

☝️ 普段の食事に取り入れたい「不飽和脂肪酸」

不飽和脂肪酸には、

・一価不飽和脂肪酸
・多価不飽和脂肪酸

があります。

これらを飽和脂肪酸の代わりに取り入れることが、心血管疾患の予防という点で推奨されています。

代表的な食品には、

・オリーブオイル
・菜種油(キャノーラ油)
・大豆油
・ナッツ類
・アボカド
・魚

などがあります。

ポイントは、

「体に良い油を追加する」

のではなく、

「今食べている飽和脂肪酸の多い食品と置き換える」

ことです。

例えば、

バター → オリーブオイル

脂身の多い肉 → 魚

スナック菓子 → 無塩のナッツ

といった置き換えです。

☝️ オメガ3脂肪酸は魚から摂るのがおすすめ

オメガ3脂肪酸には、魚に多く含まれるEPA・DHAや、えごま油・亜麻仁油などに含まれるα-リノレン酸があります。

EPA・DHAは、中性脂肪を低下させる作用などが知られています。

サバ、イワシ、サンマ、アジなどの青魚は、オメガ3脂肪酸だけでなく、たんぱく質なども摂取できるため、健康的な食生活の一部としておすすめできます。

一方で、

「オメガ3を摂れば痩せる」
「認知症を予防できる」
「アレルギーが改善する」

など、オメガ3を万能な食品成分として考えるのは適切ではありません。

健康効果は、摂取する量や対象となる病気、食品から摂るのかサプリメントとして摂るのかによっても異なります。

☝️ オリーブオイルは体に良いから、たくさん使っても大丈夫?

これも注意が必要です。

オリーブオイルには一価不飽和脂肪酸であるオレイン酸が多く含まれており、地中海食でもよく使われています。

しかし、オリーブオイルも「油」です。

1gあたり約9kcalのエネルギーがあります。

健康に良いからと、

・サラダに大量にかける
・料理のたびにたっぷり使う
・普段の食事に追加する

と、結果的に総摂取エネルギーが増えてしまうことがあります。

「健康に良い油だから追加する」のではなく、バターなどの飽和脂肪酸が多い脂質との「置き換え」を意識しましょう。

☝️ 今日からできる「油の選び方」3つ

① バターやラードを植物油に置き換える

炒め物などでは、

・オリーブオイル
・菜種油
・大豆油

などの液体植物油を活用できます。

「サラダ油だから悪い」と一律に考える必要はありません。

② 肉ばかりではなく魚も取り入れる

肉の脂身が多い食事が続いている場合には、魚料理に置き換えてみましょう。

特に青魚はEPA・DHAを摂取できます。

③ ナッツ類も上手に利用する

間食として、

お菓子 → 無塩・素焼きのナッツ

に置き換える方法もあります。

ただしナッツもエネルギー量は高いため、食べすぎには注意しましょう。

☝️ 「良い油」「悪い油」だけで考えないことが大切

結局、一番大切なのは、

「この油は健康に良いからたくさん食べる」

という考え方ではありません。

健康への影響は、

・脂質の種類
・摂取量
・何と置き換えるか
・食事全体のバランス

によって変わります。

特に覚えておきたいのは、

「飽和脂肪酸を、不飽和脂肪酸を含む食品へ置き換える」

という考え方です。

油を怖がって完全に避ける必要もありませんし、「健康に良い油」だからと大量に摂る必要もありません。

毎日の食事の中で上手に置き換えていきましょう。

☝️ まとめ

油は「太るから悪い」「体に良いから積極的に摂る」と単純に分けられるものではありません。

ポイントは、

✅ 飽和脂肪酸の摂りすぎに注意する

✅ 工業的なトランス脂肪酸はできるだけ控える

✅ オメガ6脂肪酸を一律に悪者にしない

✅ バターや肉の脂などを、不飽和脂肪酸の多い食品へ置き換える

✅ 魚・ナッツ・植物油などを食生活に上手に取り入れる

✅ 「体に良い油」でも摂りすぎない

ということです。

初台まちのクリニックでは、糖尿病、脂質異常症、高血圧、肥満症など、生活習慣病の診療を行っています。

「コレステロールが高いけれど何を食べればいい?」
「ダイエット中の油はどうすればいい?」

など、食生活について気になることがあればお気軽にご相談ください。

初台まちのクリニック
初台駅南口から徒歩1分

【参考資料】

・World Health Organization. Saturated fatty acid and trans-fatty acid intake for adults and children: WHO guideline. 2023.
・American Heart Association. Dietary Fats and Cardiovascular Disease.
・American Heart Association. Fats in Foods.
・2019 ACC/AHA Guideline on the Primary Prevention of Cardiovascular Disease.

※食事療法は、糖尿病、脂質異常症、腎臓病などの有無によって適切な内容が異なります。

院長 富田恭子

この記事の監修

富田 恭子初台まちのクリニック 院長/日本糖尿病学会 糖尿病専門医

経歴

  • 2008年 福岡大学医学部医学科 卒業
  • 鳥取大学医学部附属病院、山陰労災病院、上尾中央総合病院、総合健診センターヘルチェック 勤務

資格・所属学会

  • 日本糖尿病学会 糖尿病専門医
  • 日本内科学会 内科認定医
  • 日本医師会認定産業医/認知症サポート医
  • 抗加齢医学会 会員/日本フットケア・足病医学会 会員

糖尿病は初期に自覚症状が乏しく、放置すると合併症につながることがあります。糖尿病専門医として、将来の合併症を見据えながら「今できること」を一人ひとりと一緒に考え、継続して治療を進めます。

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