外食が多い人は「毎回完璧」をやめるところから
仕事の昼は店やコンビニ、夜は会食や打ち合わせ。こういう生活で「自炊中心の食事療法」をそのまま当てはめようとすると、たいてい続きません。続かないと、次は記録も体重測定もやめてしまい、受診そのものが億劫になっていきます。
外食が多い方にお伝えしているのは、毎回の点数を上げるのではなく、迷ったときに選ぶ「型」をいくつか決めておくという考え方です。店に入ってからメニューを一から吟味するのは大変ですが、「定食の形を探す」「汁物と野菜を足す」「主食の量は先に決める」といった型があれば、初めて入る店でも同じ判断ができます。
血糖の上がり方は、食べたものだけでなく、その日の体調・活動量・薬やインスリンの内容によっても変わります。ここに書くのはあくまで一般的な組み立て方で、どこまで当てはまるかは人によって違います。ご自身の目標値や食事の目安量は、必ず主治医と確認してください。
店で迷わないメニューの選び方

1. まず「定食の形」を探す
外食で最初に見るのは、料理名ではなくお皿の構成です。主食(ごはん・パン・めん)、主菜(肉・魚・卵・大豆)、副菜(野菜・海藻・きのこ)、汁物がそろっている形を、ここでは定食の形と呼びます。焼き魚定食、生姜焼き定食、和定食などがわかりやすい例です。
定食の形が選べると、主食の量が最初から決まっていて、野菜とたんぱく質が同じ膳に乗ります。丼やめん類の単品に比べて、食べ始めに野菜や汁物を口に入れやすい並び方になるのも利点です。
2. 単品しかないときは「足し算」で形を作る
カレー、パスタ、丼、ラーメン。単品しか選べない店も多いので、そのときは足し算で形に近づけます。サラダ、おひたし、冷奴、酢の物、わかめスープ、具の多い味噌汁。こうした小鉢や汁物が一品あるだけで、食べ始めの数口を野菜やたんぱく質にできます。
「サイドをポテトからサラダに替えられますか」「ごはんは少なめにできますか」は、たいていの店で通ります。言いにくさはありますが、一度言えてしまうと次からは頼みやすくなります。
3. 主食の量だけは自分で決めておく
外食で一番差が出やすいのが主食です。大盛り無料、替え玉無料、ライスおかわり自由。無料という言葉に反応して量が増えると、おかずの内容をどれだけ工夫しても追いつきません。
具体的な目安量は体格や活動量、治療内容で変わるため、ここでは数字を書きません。ご自身の目安を主治医や管理栄養士と決めて、「自分はごはんは普通盛りまで」「替え玉はしない」という線を、店に入る前から持っておくのが現実的です。
4. 揚げ物・丼・めんを「禁止」にしない
禁止リストを作ると、破った日にすべてが崩れます。揚げ物なら衣の薄いものを選ぶ、丼なら小盛りにして小鉢を足す、めんなら汁を飲み切らない。頻度と組み合わせで調整するほうが、外食が多い生活には合います。
選び方の物差しをもう少し知りたい方には、当院のコラム低GI 食品 一覧|血糖が気になる人の見方と落とし穴もあわせてお読みください。GI値だけで食品を良し悪しに分ける見方の限界にも触れています。
店の種類ごとの、選びやすい注文の組み立て
| 店の種類 | 選びやすい組み立て | 足したいもの | 気をつける点 |
|---|---|---|---|
| 定食屋・和食 | 焼き魚・煮魚・生姜焼きなどの定食 | そのままで形が整う | ごはんの大盛り、漬物や汁の塩分 |
| そば・うどん | かけ・ざるにたんぱく質の具を足す | わかめ、山菜、卵、鶏肉 | 丼とのセット、天ぷらの重ね食べ、汁の飲み切り |
| 中華 | 野菜炒め、八宝菜、蒸し鶏など | スープ、野菜のあんかけ | あんかけの甘み、ごはんと麺の両方を頼む形 |
| 洋食・カフェ | 肉・魚のグリルにサラダ | スープ、サラダへの置き換え | パンの追加、クリーム系ソース、食後の甘いもの |
| 回転寿司 | 握りに汁物と野菜の小皿 | 茶碗蒸し、あら汁、サラダ軍艦 | 皿数が見えにくい、デザートの流れ |
| コンビニ | 主食+主菜+野菜の三点で組む | サラダ、おでん、ゆで卵、サラダチキン | パンや麺だけで済ませる形、甘い飲み物 |
コンビニで選ぶときは、パッケージの表示を見る習慣が役立ちます。表示の読み方は「糖質」と「糖類」はどう違う?食品表示の見方で整理しています。
食べる順番と食べ方のくふう

同じ献立でも、食べ始めを野菜・海藻・きのこ・汁物にして、主菜、主食へと進める食べ方がよくすすめられます。食物繊維やたんぱく質を含むものが先に胃に入ると、糖質が消化・吸収される流れがゆるやかになりやすいと考えられているためです。ただし、どのくらい差が出るかは食事の内容や体質、治療内容によって変わり、個人差があります。順番を変えれば何を食べてもよい、という話ではありません。
あわせて、次の3つは外食でも実行しやすい工夫です。
- ひと口ずつ箸を置く…早食いになりやすい昼休みでも、意識すると食事時間が延びます
- 飲み物は甘くないものに固定する…水、お茶、無糖のコーヒー。ここを決めておくと毎回考えなくてすみます
- 食後に少し歩く…店から職場まで一駅分歩く、階段を使うなど。食後の体の使い方も血糖の動きに関わります(無理のない範囲で、主治医の指示を優先してください)
食物繊維を含む食べ物の選び方は食物繊維が多い食べ物、血糖と便通で選び方が変わりますで、目的別に整理しています。
付き合いの席・飲み会をどう乗り切るか
始まる前に決めておく2つ
会の最中に判断するのは難しいので、席に着く前に「飲み物」と「締め」を決めておきます。飲み物は、甘い割り材のものを続けない。締めのごはん・ラーメン・デザートは、最初から自分の分は頼まない、あるいは分けてもらう。この2つを決めるだけで、その日の主食の量がかなり変わります。
お酒は主治医と決めた範囲で
お酒は、飲み方によって血糖が上がることも、逆に下がりすぎることもあります。とくにインスリンや一部の薬を使っている方では、飲酒後の低血糖に注意が必要です。飲んでよいか、どのくらいまでかは治療内容によって変わるので、量の目安はここでは書きません。必ず主治医に確認してください。空腹のまま飲み始めず、つまみを一緒にとることは、多くの方に共通してすすめられる工夫です。
つまみの選び方
枝豆、冷奴、刺身、焼き鳥(たれより塩)、野菜の炒め物、お浸し、海藻サラダ。こうした料理を先に頼むと、揚げ物中心の卓になりにくくなります。取り分けの席では、自分の皿に一度取ってから食べると、どれだけ食べたかを見失いにくくなります。
断りにくいときの言い方
「医者に止められている」と言うと場が気まずくなることもあります。「最近健診で言われて調整中なんです」「今日は車なので」といった短い一言を用意しておくと、説明を長くせずに済みます。無理に付き合いを断つ必要はありません。頻度が高い方は、自分が幹事のときに店の種類を選ぶ、という手も使えます。
外食が続いた翌日の戻し方

大事なのは、食べ過ぎた日を「失敗」として終わらせず、次の食事で戻すことです。翌日に食事を抜いて調整しようとすると、空腹の反動で夜に食べ過ぎたり、薬やインスリンを使っている方では低血糖につながることもあります。抜くのではなく、内容を寄せる方向で考えます。
- 翌日の主食は自分の目安量に戻す(減らしすぎない)
- 野菜・海藻・きのこを意識して足す
- 甘い飲み物と間食を一度リセットする
- 体重を測って記録に残す
自宅で食べる日の組み立て方は糖尿病のレシピを簡単に|平日の夕食、主食から決める順番、どうしても間食が必要なときは糖尿病のおやつを市販品で選ぶとき|表示の3か所と食べる時間が参考になります。
記録に残して、受診のときに一緒に考える
外食が多い方の相談でいちばん役に立つのは、細かい栄養計算よりも「いつ・どんな場面で・何を食べたか」の記録です。写真を撮っておくだけでもかまいません。昼はいつも丼物、水曜と金曜は会食、といった生活のパターンが見えると、変えやすいところから手をつけられます。
当院(初台まちのクリニック)では、院内にグリコヘモグロビン分析装置があり、血糖値とHbA1cの迅速検査を行っています。受診したその日に結果を見ながら、直近の食事の状況と照らして話を進められます。また管理栄養士が在籍し、栄養相談室で栄養相談を行っています(完全予約制のため、ご希望の方は受付スタッフにお申し出ください)。外食が中心の生活でも、実際に使っている店や注文の内容を前提に、選び方を一緒に組み立てていきます。
通院が続かない理由に「時間が合わない」が入っている方も少なくありません。当院の診療時間は月曜・木曜が9:00〜12:30と14:15〜18:15、水曜は8:20から、土曜は9:00〜14:00です。受付終了時間は診療終了時間と同じですので、診療時間内であればご来院いただけます(火曜・日曜・祝日は休診、金曜は非常勤医師が対応します)。デジスマ診療のWeb予約とWeb問診に対応しており、受付時にクレジットカード決済を選ぶと診察後に自動決済となるため、会計待ちがありません。診療の対象は15歳以上(高校生以上)の方です。
なお、のどの渇きや体重の急な減少、足の傷が治りにくいといった変化が出ているとき、あるいは自己測定の血糖値がいつもと違う動きを続けているときは、次の予約を待たずにご相談ください。しばらく様子を見ても改善しないとき、悪化していくときも同じです。